●豪雨による災害の発生が増えてきた。
取引先が被害に遭ったときの税務上の対応を考えてみる。
まず取引先の会社が災害に遭ったときに支出するものといえば
「見舞金」だが、災害発生後取引先が通常の営業活動を再開する
為の復旧過程にある期間内に送られるものについては、災害見舞
金として交際費にはならない。
又、これは現金の包みに限った話ではなく、事業用資産の供与、
役務提供のための費用も交際費から除かれている。
●そのほか、通常の営業ができない相手に配慮し、売掛金、未収
請負金、貸付金といった債権について、全部あるいは一部を免除
することもある。
この免除したことによる損失の額は、寄付金に該当しない。
すでに契約でさだめられたリース料、貸付利息、割賦販売の賦払
金などで災害発生後に授受するものの全部または一部を免除する
など、「契約で定められた取引条件を変更する」場合も、
寄付金にならない。
●売掛債権なども免除は、どのような方法で行われても問題ない。
しかし口約束だけでは後で確認がとれないため、書面で行うのが
理想的だ。書面は法律の専門家が作る公正証書でないとダメと
いう取り決めはないが、最低限、税務署への説明ができる程度
のかたちにはしておきたい。
●被害者支援として「低利、無利息の融資」が考えられる。
災害時の復旧支援目的であれば、融資は正常な条件の下で行わ
れたとされ、寄付金認定されることはない。
融資の期間の長短や融資額は問われないが、見舞金同様、災害
復旧目的としては「復旧過程にある期間内」にされる融資で
なければならない。融資額についても、復旧に必要な額を超え
る過度の融資は対象外となってしまう恐れもある。