事業承継をうまく進めるためには

 事業承継のお手伝いをする事があります。事業承継をうまく進める為には、親子が
 「ほのぼの親子」でなくてはいけません。「ギスギス親子」では社長を譲るときも、
 株式を移転するときも禍根を残します。
 しかし、最初から「ほのぼの親子」であるのは難しいのです。「ほのぼの親子」に
 なるための大事な要素の一つが「お互いが相手を立てる」ということです。
 それを南の国のおとぎ話から学ぶことができます。 こういう話です。
 昔、南の国に王様とその息子(皇太子)がいました。王様は狩が好きで、よく息子を
 連れて森に狩に出かけていました。ところがある日、親子ゲンカをして、息子が誤って
 自分の剣で王様のほほを傷付けてしまいました。カンカンに怒った王様は、息子を牢屋
 につなぐように命じ、一人で狩に出かけました。
 一人で狩に出かけた王様は運悪く、人食い人種につかまってしまいます。人食い人種に
 囲まれて、王様は覚悟しました。いよいよというとき、人食い人種の長老が王様の顔を 見て傷があるのに気が付きました。
 「皆、こやつの顔を見てみろ。ほほに傷が付いている。こんなやつを食ったら、人食い人種の名折れになるぞ」
 長老のその一言で、王様は命を救われ、帰ってきます。そして牢につないだ息子を
 開放し、こう謝ります。
 「おまえを牢屋につないですまなかった。私はおまえのおかげで命拾いをし、九死に
 一生を得て戻ってこられたよ」  すると、息子が返答します。
 「王様、何をおっしゃいますか。王様が牢屋に入れてくれなければ、私は、人食い人種
 につかまり、ほほに傷がないから私が食われていたところでした。
 御礼を言うのは、私の方です。」
 こうして王様と息子は仲を戻し、それからこの国は、ますます発展したという話です。
 これはおとぎ話ですが、社長と後継者の間も、お互いがお互いを立てると、うまくいく
 という教訓を含んでいます。