君子は諸(これ)を己に求める

  「中野孝次論語」(海竜社)という本があります。その中に、「子曰く、君子は諸(これ)を
 己に求め、小人は諸(これ)を人に求む」というのがあります。これは論語の原文ですが、中野さん
 の訳によりますと「孔子様が言った。君子といえるほどの者は、すべてをただ自分の中に求め、小人
 はこれを他人に求める」とあります。
  例えば、私達が一つの実行をする。実行したことによって、周りの人が良いとか悪いとかいろいろな
 事を言います。でも「他人の評価に一喜一憂しなくていいんだよ」「己を磨き、己の人間性を高め、
 己の見識を広くすることに注力を注げばいいのだ」と論語は教えてくれています。
 私達の目は外向きについていて物理的に内を見ることはなかなかできません。
 人の評価を気にしすぎる自分というのを発見する。自分で自分を見つめ、自分で反省する。これが
 「君子己に求める」ということだと教わりました。