「記録達成への二律背反の秘訣」

   新記録を樹立したイチロー選手の会見の中で、大記録を達成させる、彼なりの独特な心の
  感覚を聞くことが出来ました。曰く、「僕には相反する考え方が共存している。打撃に関して、
  これという最後の形はない。これでよしという形は絶対にない。でも今の形が最高だ、という
  形を常につくっている。この矛盾した考え方が共存していることが、僕の大きな助けになって
  いると感じている。」
  まず、現状に妥協せず、常に理想の打撃を追求し続ける飽くなき向上心。もう一方は、現状を
  把握しつつも卑屈にならず、今の自分にあるものを最高のものとして徹底的に信頼して試して
  みる自信。この一見、相矛盾して見える感覚に成功の秘訣があるというのです。
  実は、この二律背反のような感覚の、一つの心の中の共存は、私達、共通に与えられている
  成功への秘訣に他なりません。つまらぬ妥協や浅薄な自己満足に陥らず、常に高い目標を
  意識して成長への姿勢を保ち続ける高い志と、自分の現状のいかなる欠点にも卑屈にならず、
  他人と自分を比較してすねることもせず、感謝をもって堂々と自分の能力を発揮すること。
  イチロー選手のみならず、歴史上の成功者たちが体現してきた成功の心構えなのだと思います。