●7月6日に内閣府が発表した5月の景気動向指数(速報値、2005年=100)は、
景気の現状を示す一致指数が前月比0.1ポイント低下の101.2となり、2009年
3月以来14ヶ月ぶりに前月を下回った。
半年ほど先の景気動向を表す先行指数も3.0ポイント低下の98.7と、2ヶ月
連続で悪化した。
●内閣府は景気の基調判断を「改善を示している」に据え置いたものの、
津村啓介政務官は「先行きに不透明感が感じられる」と警戒感を隠さない。
●足元の景気にブレーキがかかったのは、海外経済の回復に一服感が出ている
ためだ。金融の引き締めで中国の景気拡大ペースが鈍っているほか、
アメリカも回復に力強さはみられない。
一致指数では、設備投資動向を示す投資財の出荷指数が2.1%減と大きく
落ち込んでおり、輸出の減速が企業の生産や投資の停滞につながって
いることを示した。
省エネ家電の購入を促すエコポイント制度などの政策効果が薄れ、小売業の
販売額や鉱工業生産が減少したことも響いている。
●景気回復ペースが弱まることは、政府の財政再建計画にも影を落とす。
「景気の先行き懸念が強まれば、与野党の増税への反発が一段と強まる
のは確実」(財務省幹部)だけに、政府は景気の動向に神経をとがら
せている。