令和5年地価公示結果の概要

● 地価公示とは地価公示法に基づいて国土交通省土地鑑定委員会が、毎年1月1日

 時点における標準地の正常な価額を判定・公示するもので、税の分野においては、

 土地の相続評価や固定資産税評価の基準として使用されています。

  ここ数年は、新型コロナウイルス感染症の影響で地価は弱含んでいましたが、

 ウイズコロナの中、景気が緩やかに持ち直していることもあり、地域や用途など

 により差があるものの、都市部を中心に上昇が継続するとともに、地方部において

 も上昇範囲が広がるなど、コロナ前への回復傾向が見られました。

● 全国平均

   全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大。

● 三大都市

   全用途平均・住宅地は、東京圏、大阪圏、名古屋圏のいずれも2年連続で上昇

  し、上昇率が拡大しました。商業地は東京圏、名古屋圏で2年連続上昇し、上昇

  率が拡大するとともに、大阪圏では3年ぶりに上昇に転じました。

● 地方圏

   全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大

  しました。

 

 

無申告行為に対する厳正化

● 正当な理由がないにもかからわず申告期限までに申告義務を果たさなかった

 場合は、納税額(増差税額)に15%の無申告加算税が、納税額(増差税額)が

 50万円を超える場合は、その超える部分に20%が課される制度があります。

 令和5年度税制改正において、この無申告加算税に関する取扱いが見直され、

 令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税については次のように

 取り扱われることとなりました。

 〇高額無申告加算税の割合が30%に

   申告義務を認識していなかったとは言い難い高額な無申告について、納税額

  (増差税額)が300万円を超える部分のペナルティとして、無申告加算税

  の割合が30%となります。

 〇繰り返し行われる悪質な無申告行為への措置

   連年にわたって繰り返し無申告加算税等を課される者が更なる無申告行為を

  行った場合には、無申告加算税又は重加算税が10%加重されます。なお、過少

  申告加算税、源泉徴収等による国税に係る不納付加算税及び重加算税については

  対象となりません。

 

 

 

 

 

 

免税事業者とインボイス制度

● 令和5年10月からインボイス制度が開始されますが、小規模事業者にとって

 制度への対応はなかなか難しいという声がよく聞かれます。そのため、令和5年度

 税制改正において小規模事業者のみに適用される新たな枠組みが設けられます。

 特に免税事業者がインボイス発行事業者になった場合の「2割特例」は、小規模

 事業者にとって大きな福音になるのではないでしょうか。事業区分によっては、

 簡易課税よりも有利となります。免税事業者の方は、10月からインボイス発行

 事業者になるかどうかをご検討ください。10月から登録事業者となるためには、

 遅くとも7月には申請を出しましょう。

 

●【2割特例の概要】

  対象者:免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった次の者

   ① 免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受け、登録日から

    課税事業者となる者

   ② 免税事業者が課税事業者選択届出書を提出した上で登録を受けて

    インボイス発行事業者となる者

  適用対象期間:令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の

   属する各課税期間

  手続:事前届出などは不用。消費税の確定申告書に「2割特例を受ける旨」

    を付記。 

   

 

 

 

インボイス実施に伴うシステム修正費用 パート2

●パート1からつづき

  一方で、受発注システムで受領した請求書に記載された取引先

 の登録番号と国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトに公表

 されている情報を自動で照合する機能を新たに搭載するような

 ものは修繕費に該当しない。ただし、その金額が20万円に満た

 ない場合や、資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある場合に、

 ①その金額が60万円に満たない場合、②その金額が修正に係る

 ソフトウエアの前期末における取得価額のおおむね10%以下で

 ある場合、のいずれかであれば修繕費として扱って差し支えない。

インボイス実施に伴うシステム修正費用 パート1

● 国税庁は、「消費税のインボイス制度の実施に伴うシステム修正費用

 の取扱いについて」を発表し、法人税法上、修正に要する費用が修繕費

 か資本的支出かという判断基準を示しました。

 概要等は次のとおりです。

 【概要】

  各システムのプログラムの修正が、インボイス制度の実施に伴って

 従来の機能の効用を維持するために必要な修正である場合には、修繕費

 として扱われる。

 【解説】

  プログラムの修正がソフトウエアの機能の追加や機能の向上等である

 場合には、修正に要する費用は資本的支出となる。しかし、現行の請求書

 等のフォーマットに登録番号や適用税率などを追加するプログラムや積上げ

 計算方式に対応するための仕様変更等は、新たな機能追加や機能の向上等

 には該当しないため、修繕費となる。

                      (パート2へつづく) 

 

 

帳簿の提出がない場合の加算税の加重措置 パート2

●パート1からつづき

 ③ 売上帳の記載は不十分だが、現金出納帳等の他の帳簿は正しく

  記載がされている⇒現金出納帳等の他の帳簿に売上等が正しく記載

  されている場合は加重されない。

 

   調査の事前通知があった税務調査においては、調査開始日までに

  準備して提示等ができるはずです。たとえ無予告で実地調査があった

  としても、そもそも帳簿は納税地に保存する必要があることから

  提示等ができるはずですから、正当な理由又は合理的な理由がない

  限り、速やかに提示等を行わなければ加重される可能性が高いと

  思われます。

帳簿の提出がない場合の加算税の加重措置 パート1

● 令和4年度税制改正において、記帳義務の適正な履行を担保し、

 帳簿の不保存や記載不備を未然に抑止するため、過少申告加算税・

 無申告加算税の加重措置が講じられました。令和6年1月1日以後

 に法定申告期限が到来する申告所得税法人税・地方法人税、消費税

 について適用されます。

 

●【加重措置の適用に関せる具体例】

 ① 税務職員から売上に関する調査に必要な帳簿の提示等を求められた

  場合に遅滞なく提示等をしなかった⇒加算税が加重される。

 ② 青色申告の承認を受けている個人事業者が仕訳帳及び総勘定元帳の

  両方又はいずれかを作成していない⇒適正な売上金額について確認

  できるその他の帳簿等で記載があれば加重されない。

                    (パート2へつづく)