関与先の社長さんと雑談をしている時、その社長から次の
ような質問がありました。
「最近、新聞報道等で、原材料の期限等に問題がある企業があるようですが、
そのような不適切な原材料等の支出も税法上では必要経費になってしまうので
しょうか?」という質問です。
今、個人の確定申告の真っ最中ですので、個人事業者の場合
どうなるのか検討してみましょう。
一 所得税法において必要経費とは
「総収入金額を得るため直接に要した費用の額(原価)」又は
「所得を生ずべき業務について生じた費用(販売管理費)」
とされています。 原価の場合の問題は、「不適切な手段で
得た収入が{総収入金額}となるのか?という点です。
この点に関しては所得税法基本通達36-1において
「{総収入金額に算入すべき金額}は、その収入の基因と
なった行為が適法であるかどうかを問わない」とされています
ので、不適切な手段で得た収入も取得税法上は「総収入金額」
となり、その為に要した原材料等も必然的に「総収入金額を
得る為直接に要した費用の額」となります。
感情的に納得し難い部分もありますが、現在の所得税法では
一般的に「違法ないし不法な支出も別段の定めがない限り控除
を認めるべきとするのが通説である(金子宏・租税法)とされて
いますので、法解釈的には認めざるを得ないところです。
二 認められない経費もあります
しかし、所得税法においても、所謂「賄賂」や不正競争防止法等
に抵触する金品は経費として認めないとの別段の定めがあります
のでご留意ください。