財務省内には実現に疑問視の声 

  ●経済産業省の「成長戦略産業構造ビジョン」の柱である法人税
   の実効税率を国際的な水準まで引き下げる事への波紋が広がっている。
  
  ●法人税の表面実効税率(2009年)をみると、EU平均は約27%、アジア
   平均は約25%なのに対し、日本は40.7%と高止まりしている。
   EUもアジアもこの10年間で水準を下げ、企業を誘致する競争力を高め
   ようとしている。経産省は、国内への投資の増加や企業の海外流出を
   抑止することで、国内雇用の維持・増加と経済の自律的な成長を
   もくろんでおり、「安定的な経済成長を実現し、財政健全化にも貢献
   する」とアピールに懸命だ。
  
  ●こうした経産省の熱意に対して財務省は、「財源をどう考えているか
   知らないが、いずれにしても秋以降に議論される税制改正大綱の論点 
   のひとつでしかない」(幹部)と冷ややかだ。
   
  ●民主党政権参院選の看板に掲げようとしている「新成長戦略」をめぐる
   両省の駆け引きに注目が集まりそうだ。