焦点は「消費税」から「環境税」へ

 ● 9月14日の民主党代表選後の党内体制が、参院選の大敗によって
  一層不透明となり、政府税制調査会は「代表選が終わるまでは動き
  ようがない」(税調関係者)状況に置かれている。
  菅首相の続投でさえ確定的ではなく、首相が代われば、税制改正
  への政権のスタンスも変わってくるので、事実上「長い夏休み」
  に入っている。


 ● 消費税を含む税制の抜本改正は困難になったものの、それ以外
  にも平成23年税制改正の課題は山積している。
  そのひとつは、同22年度税制改正大綱で「同23年度実施に向けた
  成案を得る」と明記された環境税だ。
  昨年の環境省案では、全化石燃料に蒸留段階で総額1.1兆円を課税
  し、さらに石炭へは同約300億円を追加で課税する。
  ガソリンへの上乗せ課税の一部は軽減して、ガソリン1リットル
  当たりの税額を現行から5円下げて理解を得ようとしたものだ。


 ● 一般消費者に近いガソリン価格は減税となるが、全化石燃料への
  課税となるため、石炭や電気、ガスには増税となり、エネルギーを
  多く消費する産業界の反対は根強い。昨年の税制改正大綱を策定
  した鳩山前首相は産業界に距離を置いたが、菅首相は産業界に接近
  しており、産業界への幅広い増税に踏み込めるかは不透明だ。

 ● 民主党政調に設立される税制改正プロジェクトチーム(PT)の出方も
  関係しそうだ。PT座長の五十嵐議員は、野党時代の民主党
  環境税案を策定した際の担当者。
  PTが11月末にも政府税調に出す提言では、環境税導入を強く求め
  るのではないか、との見方が有力になっている。
  年末に向けて環境税をめぐる綱引きが激しくなりそうだ。