電子取引のデータ保存制度の改正に注意

● 所得税法法人税法では、取引に関してやり取りした注文書や領収書などの保存

 義務がありますが、こうした取引情報を電子取引で受け取った場合は、一定のルール

 に基づいて電磁的に保存することが電子帳簿保存法に定められています。税制改正

 事項が、令和6年1月1日から適用されますのでご注意ください。

 ①紙での保存について

  令和5年12月31日までは紙での保存も認められる宥恕規定が設けられています

 が、令和6年1月1日からは紙での保存は認められないこととなります。ただし、

 保存要件に従って保存ができなかったことについて所轄税務署長が「相当の理由」

 があると認める場合かつ税務調査等の際に、電子取引データの「ダウンロードの

 求め」及びその電子取引データをプリントアウトした書面の提示・提出も求めに

 それぞれ応じることができるようにしている場合は、紙での保存も認められます。

 ②検索機能の全てを不要とする措置

  検索機能が不要とされる対象者の範囲が、基準期間(2課税年度前)の売上高が

 「1000万円以下」の保存義務者から「5000万円以下」の保存義務者に拡大

 されます。また、対象者に「電子取引データをプリントアウトした書面を、取引

 年月日その他の日付及び取引先ごとに整理された状態で提示・提出することができ

 るようにしている保存義務者」が追加されます。

簡易課税を選択する場合の特例

● 簡易課税制度は、その課税期間の基準期間の課税売上高が5000万円以下

 であり、原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに

 「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合に適用することが

 できます。

 

● ただし、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する

 課税期間に、免税事業者がインボイス事業者の登録を受けて、登録日から

 課税事業者となる場合は、その課税期間中に「消費税簡易課税制度選択届出書」

 を提出すれば適用される特例があります。

  なお、確定申告書の提出期限などと異なり、簡易課税制度選択届出書の期限

 は、課税期間の末日が土日祝日に当たった場合であっても提出期限が延長される

 ことはありませんのでご注意ください。

  

 

相続土地国庫帰属法の創設

● 相続土地国庫帰属制度は、相続又は遺贈によって宅地や田畑、森林などの土地を

 相続した人が、それらの土地を手放したい場合に国に引き渡すこたができる新しい

 制度です。令和5年4月27日に施行されました。施行日前に相続等により取得

 した土地についても、要件を満たせば国庫帰属させることが可能です。

 1 申請できる人

  相続や遺贈で土地を取得した相続人が申請できます。土地が共有の場合は、共有

 者全員が共同して行うことが必要です。

 2 対象となる土地

  相続又は遺贈によって取得した土地で直ちに建物の敷地として使用できると認め

 られる土地が対象です。管理に過分な費用・労力がかかる土地や土地の管理・処分

 を阻害する有体物が地上又は地下にある土地などは承認されない場合があります。

  なお、次の土地は申請できません。建物がある土地、担保権や使用収益権が設定

 されている土地、他人が利用している土地、特定の有害汚染されている土地、境界

 があきらかでない土地や所有権の存否や範囲について争いがある土地。

 3 手続きにかかる負担金

  (1)審査手数料 1筆の土地当たり14000円

  (2)10年分の土地管理費相当額の負担金

相続時精算課税の見直し パート2

●パート1からつづき

  また、同一年中に複数の特定贈与者から贈与を受けた場合には、基礎控除

 110万円について、各特定贈与者からの贈与額に応じて按分した額が基礎控除

 となり、この按分した金額が、最終的には相続税の課税価格への加算不要金額

 となります。

 

● さらに、見直しにより、相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産が土地

 又は建物が災害により一定の被害を受けた場合で、贈与税の納税地の所轄

 税務署長の承認を受けたときは、相続税の計算において当該土地又は建物の

 評価額を再計算することができるようになります。

 令和6年1月1日以後に生じる災害により被害を受ける場合に適用されます。

相続時精算課税の見直し パート1

● 令和5年度税制改正により、従来の相続時精算課税の2500万円の特別控除額

 とは別に、年間110万円の基礎控除が創設されました。令和6年1月1日以後の

 贈与に係る贈与税又は相続税について適用されます。

  これに伴い、提出書類も変わります。令和6年1月1日以後に精算課税を選択

 する場合で、初選択する年分の贈与が110万円以下の場合は、申告書の提出は

 不要、相続時精算課税選択届出書及び戸籍謄本等の添付書類の提出のみ従来

 どおり提出することとなります。

 

● なお、贈与税の計算時における基礎控除110万円と特別控除額2500万円

 の関係については、基礎控除額110万円を控除した後の贈与税の課税価格から

 特別控除額2500万円を控除することとなります。

  贈与時の税額計算

   {(贈与税-110万円)-2500万円}×20%

                       (パート2へつづく)

インボイス登録申請とタイムリミット パート2

●パート1からつづき

 パート1で申請書をe-Taxで提出した場合は3か月と書きましたが、正しくは

約1か月半、書面で提出した場合が3か月かかるとされています。

 登録番号を受領したら、自社においてインボイスと定めた書類に登録番号を

記載する準備を行います。登録番号はインボイスに記載するほか、現場担当者

への周知やシステム対応なども順次進めていかなければなりません。社内の部署

間において処理方法などが異なる場合は、処理の統一化も必要です。更に、

不特定多数の顧客に対して商売をしている場合は、現場でインボイスの問い合わせ

に対応できるよう、マニュアルの整備やポスターの掲示などの準備も必要でしょう。

 

● 登録番号を受領するまでの期間と社内の準備期間を考慮すると、7月中には登録

申請を行う必要があると思われます。申請未済の方は、お早めにお手続きください。

 

 

 

インボイス登録申請とタイムリミット パート1

● 既報のとおり、インボイス発行事業者になるためには、納税地を所轄する

 税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、審査を受ける

 必要があります。令和5年10月からインボイス発行事業者になるためには、

 令和5年9月30日までに申請を行わなければなりません。

 

● ただし、申請から国税当局における審査を経て、インボイス登録センター

 から登録番号等が記載された登録通知(書面又は電子データ)が送付される

 までの期間は、申請書をe-Taxで提出した場合は約3か月かかるとされています

 ので、注意が必要です。

                       (パート2へつづく)