行方不明者の相続税はどうなっているのか

 ● 全国各地で100歳を超える多くのお年寄りの所在が分からなく
  なっている。  こうした行方不明者に関する相続はどうなって 
  いるのかーーといった素朴な疑問も出てくるが、相続の世界では
  被相続人が行方不明になった場合、行方不明になって7年が経過
  することで、配偶者や親族など利害関係者が家庭裁判所
  「失踪宣告」の請求をすることができる。
  宣告を受けることで「被相続人が死亡した」とみなされ、その
  時点で初めて法的な相続が発生する。


 ● 相続税などの税務関係を考えてみると、失踪宣告は自動的に
  行われるわけではなく、親族ら利害関係者が行わない限り、
  実施されない。そのため、失踪宣告が行方不明から数十年を経た
  後に行われるケースもあるが、この場合、相続税額の計算は
  「行方不明になってから7年が経過した日」の遺産価額を
  ベースとして行う。


 ● また、場合によっては、いつまでも失踪宣告を請求せず、
  相続税をうやむやにしているケースもあり得る話だ。
  たとえば、親名義の家屋に親子で同居していたり、親の土地に
  子が家を建てて使用貸借としていたりするケースで、本当は
  親が失踪、死亡しているのに、意図的に失踪宣告を請求せずに
  行方不明の状態が続いていれば、実質的に子へ財産が移転して
  いるにもかかわらず、課税が延々と先送りされていることに
  なる。


 ● こうした可能性について国税当局は、「そのようなケース
  は考えられる」としているが、行政上、こうした行方不明者
  は失踪、死亡したことになっていないため、「捕捉できない」
  というにが実情のようだ。
  どこか不公平な気もするが・・・。