不動産の共有と株式の共有

  被相続人の財産は、遺言がなければ、遺産分割協議が成立するまで、
 相続人(数人いる場合)の共有になります。不動産など所有権のある
 財産は共有、株式など所有権以外の財産は準共有となります。
 準共有は、共有を準用しますので、結果的には共有と同じ取扱になります。
  (1)不動産の共有
  遺産が未分割であれば、各相続人はその不動産について、その持分(法定
 相続人)に応じて使用、収益、処分ができます。不動産が賃貸物件(アパート等)
 であれば、それから生ずる果実(賃料)について、各相続人は法定相続分
 応じて取得し、また、その所得(不動産)が一定額を超えると確定申告義務
 を負うことになります。
 そして、分割協議が成立すると、その物件を相続した者が相続開始時に遡って
 当該物件を取得したことになります。しかし、その果実(賃料)については、
 遡及することなく、遺産分割協議成立後の相続分に応じて当該賃料を取得し、
 確定申告します。
  (2)株式の共有
  株式も不動産とその取扱は同じです。その果実たる配当は、法定相続分
 応じて取得し、源泉税も法定相続分に応じて負担します。また、確定申告の
 手続きも同様です。
 しかし、株式には、財産権のほかに「株主総会における議決権」があります。
 この議決権について、相続株が共有状態(未分割)にある場合の議決権行使
 については、会社法は次のように定めています。
 「株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての
 権利を一人定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ
 当該株式についての権利を行使することができない。
 ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限り
 ではない。」と規定しています。
 したがって、オーナ株が相続でもめている場合には、総会が開催できない、
 あるいは、一部少数株主による支配が行われることもありますので、
 留意が必要です。